研究概要 |
氷蓄熱槽の蓄冷過程(製氷過程)の平均熱流束を高め、蓄冷の高効率化をはかる方策を得るため、蓄熱槽内の冷却管位置を上下各位置に変化させる場合の、冷却管周囲の自然対流のモードおよび槽内の成層化の様相と管外氷層の成長過程の関係を基礎的に研究した。 先ず、研究実施計画に沿って蓄冷槽を制作した。外部からの観察を容易にするため、蓄冷槽は高さ700mm,巾550mm,奥行960mm程度のアクリル製容器とし、周囲を発泡スチロールで断熱するとともに、観察用の前面に真空断熱を施した2重壁をもうけた。冷却管には長さ約700mm,外径15mm程度の銅製の2重管を製作し、蓄冷槽内の底部から50mm,200mm,350mmの各位置に水平に設置する構造とした。また、蓄冷槽内の水温の経時変化を測定するため、底から約100mm,300mmの位置に銅-コンスタンタン熱電対を各2対左右対称に配置した。写真撮影を容易にするため、多くの予備的検討の後、水槽奥面を黄色壁とした。 次に、単一の冷却管位置を上下に変化させるときの蓄冷過程(製氷過程)の観察を行った。槽内の水を約5℃の均一温度にした後、冷却管に約-10℃のブラインを流し、槽内の温度分布の変化を測定するとともに、冷却管周囲の氷層の成長過程を観測した。冷却管を設置する位置により、最大密度層(約4℃)の生成状況に差が見られ、冷却管近傍の自然対流の様相に明らかな相違が観察された。 さらに蓄冷過程の数値解析についても検討を加えたが、解析結果を得るには至らなかった。今後引き続き研究を継続させ、定量的な検討を充実するとともに、多管配置に対する特性の解明を目指す予定である。
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