研究概要 |
本研究では, 縦渦列を用いて流れと直角方向速度成分を発生させ伝熱促進を図るために, 有限長のねじり板のねじり方向を変えたものを壁面に接して交互に並べたもの, 円管内壁の斜め突起列を用いて研究を行った. 前者の方法はねじり板側面での流れのはくりのため, 流動抵抗の増加の割には伝熱の促進率が低かったので, 主に後者について, レーザードップラー流速計により速度場の測定と伝熱実験を行い, 斜め突起列により生じる二次流れ及び乱流特性が熱伝達に与える影響について明らかにした. (1)平均速度分布 流れ方向の平均速度分布は水平中心線上(Z軸上)において2つのピークが生じる. それらは突起通過直後に鋭くなり, 下流に行くに従い平坦化されるが, 次の突起の上流で再びピークを持つようになる. また中心部分の速度はほぼ一様で, 流れの加速が突起の近傍に限られている. これに対応して断面内に生じる2次流れの上向き速度成分Vは, Z軸上の中心部分で常に上向き, 壁面付近では下向きであり1対の2次流れが存在していることが分かった. この時の上向き流れの最大値は断面内平均速度Umの45%に達する. (2)レイノルス数依存性 突起間の中央での中心軸を含む鉛直面内の速度VはRe数によらずほぼ一定で, 2次流れの形態はRe数によらない. (3)圧力損失 本研究で用いた斜め突起列の圧力損失係数をWebbの相関式に基ずき滑らかな軸対称突起列と比較した結果, 滑らかな軸対称突起列の値とほぼ等しく, 2次流れ生成に伴う流動抵抗の増加は無視しうる. 抵抗係数は斜め突起の傾斜角が大きくなるほど, Re数に対し負の勾配を持つ. (4)乱流特性 流れ方向速度の勾配と乱流エネルギーは良く対応しており, 渦粘性の概念が適応できる. (5)伝熱特性 ポンプ動力一定の条件下で平滑管に対する伝熱促進率は突起高さが低い方が大きく, その値はRe=5000で最大1.6程度が達成された.
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