研究概要 |
本研究は沸騰伝熱面に対して超音波を照射した影響を調べたもので, 特に伝熱性能の低い膜沸騰伝熱の促進を主目的とし, 相応の効果を明らかにした. 伝熱面としては0.2【bounded integral】白金細線を供し, 飽和エタノール中の沸騰について実験を行った. まず核沸騰伝熱域については低熱流束下における促進を認められたが, 中高熱流下およびバーンアウト熱流束に対しての有意な促進は確かめられなかった. 一方膜沸騰伝熱域に対しては, 振動子への人力にほぼ比例する伝熱促進率を得た. 実験は28KHz;0〜33.6Wのフェライト製振動子を用いたが, 膜沸騰単在時には最高約2倍, 照射によって一部の蒸気膜が破壊した核・膜混在時には最高約5倍の熱伝達率を得た. 実験は広い過熱度範囲について行い, 各振動子入力に対して膜沸騰特性曲線を描いた. また写真撮影により, 高振動子入力下ではキャビテーション気泡が発生すること, 低過熱度下では膜沸騰と核沸騰が空間的に混在するようになることを確かめた. 膜沸騰のみが存在する下限を極小熱流束点と定義し, 同点が超音波入力によって制御できることを示した. 超音波プローブによって超音波強度の分布を測定し, 特異な定〓波的分布を呈すること, 膜沸騰伝熱促進率の分布も上記強度分布に強く対応していることを明らかにした. すなわち超音波強度が伝熱促進の一要素であることが明らかとなった. しかしながら両者の関係は必ずしも比例しないこと, 振動子入力や配置の影響も受けることから, 超音波に換気される流れやキャビテーション気泡の発生なども伝熱促進に関係するとと推定された. また伝熱促進率に対する液高の影響などについても実験した.
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