研究概要 |
1.水と空気の水平管内二相流について流動様相を観察した結果, 管頂部が常に乾いている流れ, 管頂部にリビュレットが形成される流れ, 管頂部が間欠的に乾く流れおよび管全周が常にぬれている流れがそれぞれ認められた. R22の水平管内沸騰二相流でも同様な流動様相が観察された. 2.気液が上下に分離した流れの場合には, 液でぬれた部分と乾いた部分の境界は時間的に変動しており, これに対応して局所熱伝達係数も変動する. 時間平均局所熱伝達係数は管周方向で著しく異なった値になり, ぬれ境界の近傍で極大値をとる. このような分析をもつ時間平均局所熱伝達係数を管外周上の限られた点数の温度測定値から見積る妥当な方法を考案した. 3.ぬれている部分と乾いている部分の境界の管底点からの角度, すなわちぬれ境界角度は質量速度とクオリティによって大きく影響されるが, これはクオリティの増加による液位の低下と流速の増大による液膜の上昇によって説明できる. 後者の効果が優勢な場合には, 熱流束が低い程ぬれ境界角度は大きくなる. また, 管径が小さい程あるいは圧力が低い程, 一般にぬれ境界角度は大きくなる. 4.周平均熱伝達係数はぬれ境界角度と類似な傾向を示し, したがってその特性は主としてぬれ境界角度の特性によって説明できる. 5.分離流でぬれている部分の平均熱伝達係数および管全周がぬれている環状流での周平均熱伝達係数は, いずれも著者らが以前に提案した環状流の熱伝達整理式から予測することができる. 乾いている部分の平均熱伝達係数は, 蒸気単相流として従来の熱伝達整理式から算出される値とほぼ一致する. 6.上述の式から算出したぬれ部分と乾き部分それぞれの平均熱伝達係数の値およびぬれ境界角度の実測値を用いて, 水平管内沸騰流における管周平均の伝熱特性を見積ることができる.
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