研究概要 |
高性能の拡大伝熱管としてデイフューザ流路の適用を考え、デイフューザ広がり角θ、および種々の流路入口状態による熱的性能比の検討および伝熱促進機構を解明するために以下のような装置を用い実験を行った。実験装置は広がり角、アスペクト比が容易に変化できるように二次元ディフューザとした。両側壁の伝熱板はスパン長さ500mm,流れ方向長さ1000mmの大きさで、その表面は30μmのステンレス箔をはり付けた熱流束一定のものとした。壁面温度測定用の熱電対は流れ方向に50mm間隔、伝熱板中心部(x=490,510mm)にスパン方向に10mm間隔で埋め込まれている。後者の熱電対はなく離・再付着領域の熱伝達率、またたて渦による温度変化のスパン方向分布を知るためのものである。 本実験は第1段階として、アスペクト比3,θ=8°,15°に限定し、流れ方向およびスパン方向の局所熱伝達率および流れ場(静圧分布,壁面まさつ力)を測定した。なおこの場合の入口幅は100mmである。片面の非加熱部の長さ【X_0】を0,5,10,15,20mmにして、伝熱板を下流にずらしつつ、流速をU=5,10,15,20,30,40,50m/sの場合について局所値が測定された。θ=15°の場合、僅かに偏流を起こしており、両壁面に差異が見られるが、局所値は滑面の平板境界層内の熱伝達率Nux=0.0296【Rex^(0.8)】【Pr^(0.6)】によく一致した。流速が大きくなるにつれて、平板の値からの差異が生じ、その差異はRex【>!=】3×【10^5】で起る。またスパン方向の分布は中央部が小さい値を元す。θ【<!=】15°では、僅かな偏流を伴うものの静圧分布、壁面まさつ力などの流れ場は滑面平板境界層における値と余り変らない。ただ広がり角θ【<!=】15°で、減速流れであるにもかかわらず、下流の局所値は平板の値に比べて余り低くなってない。このことは伝熱管として有望である。はく離・再付着が顕著となるθが大きい場合については現在実験中である。
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