研究課題/領域番号 |
61550171
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
熱工学
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶応大, 理工学部, 助教授 (10101776)
|
研究分担者 |
長島 昭 慶應義塾大学, 理工学部機械工学科, 教授 (80051514)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 生理流体力学 / 心臓血管系 / 動脈内流れ / 曲り管 / せん断応力 |
研究概要 |
動脈硬化などの血管病変が主に動脈の曲り部の内側や分岐部に局所的に生ずるという知見が医学者によって得られ、病変の局在性と血管内の流動性状とくに血管壁せん断応力との関連が注目されている。そこで本研究ではその相互関係を明らかにすることを目的として、曲り管内定常流における壁せん断応力を電気化学的方法により測定し、壁せん断応力の分布の特徴に関する知見を得た。本研究で使用した酸化還元系溶液は、フェリシアン化カリウム及びフェロシアン化カリウム混合液に水酸化ナトリウムを加えたもので、一定高さのリザーバから静水庄下で曲り管にポアズイユ流が与えられるように流路回路を設定した。曲り流路には、純ニッケル線を植えこみ陰極として使用した。コイル比δ=a/R=1/3(a:管内半径,R:曲率半径)の流路では、ディーン数n=643までせん断応力の極大値が内曲り側より外側に向けて60度付近に現れている。さらに曲り入口部から下流側に向うにつれて、内側より外側のせん断応力が高くなる。同時に第二の極大値が表われる。これは、2次流れの発達により、軸方向速度の最大値の位置が外側に片寄るために生ずる。曲り入口から距離X/a=6.3の場所における最大せん断応力は、δ=1/3の場合、δ=1/6の場合よりも50%程度増加しており曲率の変化による影響が顕者に現れている。血管病変が曲りの内側に生ずる知見から、血管壁の病変は低いせん断応力の部位に生ずるという説に一致する結果を得たが、非定常流の場合は曲りの内側は必ずしもせん断速度が最小にならない。曲率の大きい曲り管部に病変が表われるという知見は、曲率が大きくなることにより最大せん断応力が大きくなる本研究の結果から考えると、せん断応力の大小と血管病変とは関連が存在していることは確かである。流れの構造に関して徐々に明らかになっているので、今後血管壁内の物質移動との関連を明らかにする必要がある。
|