研究概要 |
直流サーボモータの高速化, 高精度化を目的とし, サーボ系の電流フィードバック制御に適応制御手法を用いたサーボ制御手法の研究を行った. すなわち, 減速機構等の動特性を同定し, サーボ系電流制御フィードバックゲインを適応させ, 摩擦等の外乱を補償する適応同定則, 適応制御則の検討, 開発を行った. また, サーボ実験装置の試作をおこない, 同定則, 制御則の実験的検討をおこない良好な結果を得た. 主な研究成果は以下の通りである. 1.リャプノフ法適応同定則に, 非線計項を付加した離散時間型同定則, リレー要素を用いた連続時間型同定則を提案した. いずれも, 高速かつ収束性が改良されており, 電流制御に適した同定則である. 2.適応制御系の安定性証明方法を考案し, 前項の適応同定則を用いた適応制御系の安定性の検討にこの証明方法を用い, その安定条件を得た. 3.サーボ系等の非線計動特性を有する系に対し, 加速度信号を用いないパラメータ同定手法を考案し, 6自由どマニピュレータ実験装置に対しパラメータ同定実験を行った. 4.減速機構内の摩擦外乱を推定するための周期性外乱推定オブザーバの構成法を提案した. このオブザーバには外乱周波数を推定する適応同定則を用いた. さらに, 試作したサーボ実験装置で, 摩擦外乱推定実験を行った. 5.リレー方式適応同定則を用い外乱ロバスト適応制御則を考案し, 6自由度マニピュレータ実験装置によりオンライン制御実験を行った. 6.サーボ系の減速機構動特性には摩擦などの非線計項を有しているが, パラメータ概略値を用いて, 非線計項の補償を行い, パラメータ誤差に伴う制御偏差を外乱とみなして非干渉適応制御を行う構造の簡単な制御方式を提案し, 6自由度マニピュレータ実験装置によって, オンライン制御実験を行い良好な制御結果を得た.
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