| 研究概要 |
本研究は, 現在の電力系統運用・制御技術で実用化が可能と考えられるセキュリティ制御手法の開発を目的として(1)過渡安定度の高速評価と重大事故の自動選択のためのセキュリティ指標の開発等を行ったもので, 研究成果の概要は以下の通りである.
(1)過渡安定度の高速評価
過渡安定度のシミュレーションにおいては, 従来, 潮流計算部分をAC法で行っていたため, 計算量の面で負担が大きかった. 本研究ではDC法潮流計算をベースとした線形潮流モデルによるシミュレーション手法の開発を行った. その結果, 従来法とほぼ同程度の精度でしかも計算時間が約10倍高速な手法が得られた. また, このシミュレーション手法を採り入れたパターン認識による過渡安定度の高速評価手法の開発, 安定度と経済付加配分との強調可能なキュリティ予防制御手法の開発を行った.
(2)重大事故の自動選択のためのセキュリティ指標の開発
電力系統の電圧・潮流に関するセキュリティ解析のため, 母線電圧および線路潮流の違反量で構成される空間において, 制限違反量ベクトルのノルムで定義される新しいセキュリティ指標を開発した. これにより, 従来困難とされていた, 線路過付加と母線電圧の大きさとを同時に考慮した想定事故解説と事故の順序付けとが可能となった.
(3)その他
動的セキュリティ予防制御と有効電力制御との関連を検討する目的で, 種々の運用規制を考慮した日問の最適運用計画決定の開発を行った.
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