研究概要 |
本研究は, BI型NbN超伝導体テープ線材化に向けて, 試料の製作, 結晶相や膜構造の解析・超伝導特性の測定が2年にわたり行なわれ, 線材化に関する基本的な要件やテープ材として基本伝導特性に関する知見を得ることができた. 昨年度は, サファイアや石英等の絶縁基板にNbN薄膜を製作し, 製作条件, 膜構造, 高磁界超伝導特性を測定し, これらの相互関係を重点的に調べた. 本年度は, 研究の主眼をテープ材の製作に置き, ハステロイBやSUS304金属テープ基板上に連続的にNbN薄膜を製作し, 高磁界特性や歪み効果を調べ, 線材としての特性評価を行なっている. 以上の研究により, BI型NbN連続テープ材の製作と超伝導特性に関して次のような成果を得た. 1.NbN薄膜:rfスパッタ法により, Nb板をターゲットとし, ArとN2の混合ガス雰囲気中にてNbN薄膜を得ることができた. NbN薄膜の高磁界特性を決定する上部臨界磁界Hc2は, 膜中のNbN相の結晶粒形状に依存し, 粒径が小さい程高Hc2値を示す. また, 一般に16Kを越える高Tc膜では14-15Kのものが多い. NbN相の成長は, 基板材質に依存して異なり, サファイア基板では著しく相大化した結晶粒が成長し易く, 高磁界特性は劣化する. 2.NbNテープ材:ハステロイB, SUS304金属テープ基板にNbN薄膜を連続的にrfスパッタ法によりコートし, 〜20cmのNbNテープを製作することができた. テープのJcおよびHc2共に絶縁基板の試料に比較して少し低下する. 歪み効果に対しては, 従来この系で報告されている値よりも高い耐歪み特性が得られ, BI型NbNテープ材の高耐歪み特性を実証することができた.
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