研究概要 |
1.昭和61年度 二相, 2極, 300Hz, 1KW, 18,000r.p.mのヒステリシス電動機を設計する. (a)固定子はこれまでの基礎的研究成果を参考にして, 鉄心の選定, スロットの形状, 寸法比の最適値を決定[山洋電気(株)]. (b)回転子はヒステリシス電動機に適したFe-Cr-Co系磁石鋼で, H_cを低く(300Ce程度), Brを高く(15KG以上)し, これまでの研究成果から最適な寸法比を決定して, 試作した[オリエンタルモータ(株)], 試作電動機について, 同期時特性, 始動時並びに振動特性を測定した. その結果から, 方形波インバータの定格電圧, 電流の関係から, 電動機固定子巻線の入力電圧を下げる必要が生じ, 次年度固定子巻線の再設計から行うこととなる. 昭和62年度 再設計した固定子をメーカー[山洋電気(株)]で試作した(昭和62年8月完成). 試料機について, 再度, 同期時特性, 始動時並びに振動特性を測定した(昭和63年1月実験終了), なお, 測定と並行して(昭和62年5月開始〜63年1月終了)試料機の同期脱出特性の解析を行った. 解析結果は実験結果と比較的よく一致し, 本解析法が妥当なことを確認した. 尚, この電動機の空間高調波, 時間高調波の低減法は超高速, 高性能ヒステリシス電動機実現のためのキーポイントであるが, これら高調波の低減法は筆者らによって基礎研究が終っており, 次年度に継続して完成させる予定である. 本研究の成果は次の二つにまとめられる. (1)これまでは空間高調波または時間高調波のみが含まれる場合のヒステリシス電動機の脱出時特性の解析が行われたに過ぎなかった. 本研究ではこれを空間高調波と時間高調波の両方が含まれる一般的な場合に拡張して, 脱出時特性の解析を行った. 尚, 精度はかなりよいことを確認できた. (2)振動特性は正弦波, 方形波, PWM波の順に振動加速度が大きくなること, および周波数成分も定量的に明らかにした.
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