研究概要 |
本研究の無整流子電動機定出力制御系はインバータ直流側電圧Ed並びに直流側電流Idを電動機速度に依らず一定に制御することにより電動機の出力(【_!〜】Ed・Id)を一定に保つ方式とし、これにインバータの制御進み角γの制御則として、γ=Kr Id+Kf/If+【γ_1】(ただし、Kr,Kf,【γ_1】は一定値,Ifは界磁電流)なる新しい制御則を導入し、インバータの転流余裕角(=γ-u:uは電流重なり角)の確保と、界磁磁束の大きい低速時における力率(【_!〜】cos(γ-u/2))の改善及びトルク脈動の減少をはかったものである。このような定出力制御系について、本研究では動特性を中心に検討を行なった。以下にその結果を記す。 (1)本定出力制御系において、直流電流Id,直流電圧Ed,及び界磁電流Ifの各制御装置をいずれも標準的なPI制御装置とし、電動機は平均的諸定数をもつとして、定出力系の特性方程式を導出し、系の安定性を詳細に解析した。その結果、系が不安定にならないための各制御装置ゲインと積分時定数の範囲が明らかにかった。なおγ制御則の決定法も与えた。 (2)系が十分安定となる制御装置定数を上の結果から選定した場合、電動機定数が平均的定数値から通常の範囲で変化しても系は不安定にならないことが判明した。また系の過渡応答を解析し、上述したγの制御則の導入により、インバータの転流は過渡時にも安定に行なわれることを明らかにした。 (3)2,2KWの同期電動機を用いて上記結果をふまえて定出力系を試作、実験的検討を行ない、上記解析の妥当性と本制御系の有効性を確認した。 (4)定出力運転前後の加速,制動についても並行して基礎的検討を行ない、将来始動→定出力運転→停止の連続動作を実現するための基礎資料を得た。 (5)以上により無整流子電動機定出力制御系の最適設計のための基礎資料が得られた。
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