研究概要 |
高精度ロボット等に使用されるダイレクト・ドライブ用電動機に要求される低速大トルクを実現する方法として, かご形誘導電動機の高調波同期トルクを活用する研究を61年度に引き続いて行った. 先ず運転制御については, 試作した0.75kwの電動機及び制御装置による実験を行い, 制御上の問題点の解決と制御性能の向上を行った. 特に低周波領域における誘導電動機トルクの増大の為に, 制動トルクの減少とか, 軽負荷時の極低速運転に問題を生じたので, 適当な周波数の逆相分電流の導入による逆相分トルクの活用により問題点を解決し, 速度脈動の少ない安定な低速運転が可能となった. 次に位置制御の基礎研究を行った. 位置制御に必要な静止トルクについては, 誘導電動機トルクを利用したサーボロック方式と, VT形ステッピングモータとしてのトルクを活用する方式について検討した結果, 停止位置の精度を上げるには後者の方が有利であるとの結論を得て, 後者についての研究を行った. 前年度試作した電動機についての実験結果から, この構造では回転子位置による静止トルクの変動が大きいという問題点が明らかとなった. そこで本構造の電動機において, 固定子及び回転子のスロット数の関係から生ずるVR形ステッピングモータとしての静止トルクについての理論的研究を行って, この問題点を解決する為の構造をどの様にすべきかを明らかにした. この新構造の静止トルクについては, 試作を行って実験による確認を行う必要があるが, 今年度の補助金額が申請より大幅に削減されて試作が不可能であるので, 来年度に別の予算で試作を行ない, ステッピングモータとしての静止トルクの確認と, これを活用した位置制御方式の研究を引き続き行う予定である.
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