研究概要 |
近年エレクトロニクスの発展と相まって, ワードプロセッサーやコンピュータなどのエレクトロニクス応用機器の普及が急速に進み, 電力の安定供給の重要性が増している. 本研究は, ガス絶縁電力用開閉装置の絶縁破壊の予知を破壊前に現れる微小放電のパターン認識から行おうとするもので, 破壊前に現れる微小放電の検出とコンピュータによるデータ処理技術を開発した. 更に実用のSF_6ガス絶縁開閉装置を模擬したモデル実験装置を用いて, 開閉装置における絶縁破壊予知の研究を進め, 次のような結果を得た. (1) 開閉装置の電極接触部に微小放電が発生すると, この微小放電によって接触部と器壁間の破壊電圧が低下し, 微小放電が破壊電圧の低下に重要な役割を演じている. (2) 破壊電圧の低下の割合は, 微小放電電流, 接触部と器壁間の間隔などによって変化するが, 一般的傾向としては間隔が減少する程, また微小放電電流が増す程, 増加した. (3)接触部と器壁間の破壊の電気的位相は, 微小放電が先行した破壊では, 接触部が陰極, 器壁部が陽極となる位相で起こる, などの重要な結果を得た. 以上の結果を総合して, SF_6ガス絶縁電力用開閉装置における破壊の予知は, 電極接触部における微小放電のパターン認識から行うことが可能であることが明らかになった. なお, この研究課題は, 電力会社においても電力供給の立場からその重要性が認められ, 昭和62年〜64年にわたって電力会社との共同研究が進められており, その研究成果が期待される.
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