研究概要 |
パルス電磁誘導放電方式を用いて新素材と言われているアモルファスシリコンやアモルファスカーボン薄膜を析出するための、装置開発,析出放電条件,およびプラズマ特性と析出膜質との関係を解明した。 1.高繰り返えし放電 新規放電容器により高繰り返えし(1分当り1放電)の放電を発生させることができたために、膜作製が以前より早くなり、また再現性良く析出できるようになった。さらに分光学的計測や電流波形計測などの信頼性も高くなった。 2.アモルファス半導体の作製 サイレン気体によって析出されたアモルファスシリコン薄膜は常温ガラス基板に密着性良く析出した。しかし導電率、光学ギャップは従来の高周波法によるものと大差なかった。メタンガスによるアモルファスカーボン膜も常温基板へ付着性良く析出された。析出された膜はグラファイト構造とダイヤモンド構造の混った組成になっていることが明らかになった。放電条件を変化させた結果、堆積速度は約1nm/回であり、導電率は【10^(-6)】〜【10^(-7)】【(ohm・cm)^(-1)】,光学ギャップは1.0〜2.0eV程度であった。 3.放電プラズマ特性 サイレンやメタン気体の分解によって生ずる水素の励起光Hα,Hβ,Hγのスペクトル強度を分光学的に測定して、相対強度比法により、電子温度を求めた。その結果電子温度の最高は5eVであった。 4.今後の研究の展開と計画 61年度の実験設備の充実により、多くの興味ある研究成果が得られ、電気学会論文誌(5月号予定),アメリカ材料研究学会(MRS)春季会議(4月),第10回化学気相国際会議(CVD-X)(10月)に掲載決定および講演発表受理された。本方式による材料プロセシングは高周波法などにない優れた特長を有するため、特にダイヤモンド状膜の作製や多層膜の成長などを目的とした研究へ発展させて行く計画である。
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