研究概要 |
本研究では, ガラス基板上に光磁気メモリーに適した巨大な磁気光学効果と高い均一性を持つ高濃度Bi置換ガーネット膜を得るための最適条件を検討した. 膜は, 2極rfスパッタ法を用いて, ガラス基板上に(1)アモルファス膜を堆積, その後熱処理, 結晶化させる方法, または(2)スパッタ堆積中直接結晶化させる方法により作製した. その結果, (1)の方法では, 520°Cとかなり低い熱処理温度で最大Bi置換量2.9のガーネット多結晶膜を単相で得ることができた. また, (2)の方法では, Bi量に無関係に, 基板温度500°C以上で直接結晶化した膜を形成できた. 一方, 多結晶質膜を光磁気メモリーに応用する際, 最も問題となる膜の不均一性に関しては, 結晶粒界での光散乱及び熱磁気記録ビットの不規則性を緩和する方法を提案した. これらは, いわゆる媒体雑音の原因となる. 前者は, スパッタガスとして, 従来用いられてきたAr+O_2の代りに, 純ArまたはAr+H_2の還元性雰囲気を用いることにより著しく改善さることが明らかとなった. これらのスパッタガス中で形成された膜では, 欠陥等の結晶不完全性が結晶粒内部に均一に分布するため, 粒界を光学的に識別できない. 後者は, 微量(1.2at.%以下)のW添加によりかなり改善されることが見い出された. これは, Wガピンニングサイトとして働き, 結晶粒内部の磁壁保磁力を高めるためである. これにより, 規則的形状を持つビットの記録が可能となった. 上記研究と並行したイオニ置換による材料探査の一環として, Co置換ガーネットエピタキシャル膜をスパッタ形成し, その磁気異方性を調べた. その結果, Co置換は, S面体位置のCo^<2+>の大きな磁歪を介して, 応力誘起磁気異方性を著しく増大させることが明らかとなった.
|