研究概要 |
本研究によって得られた知見は以下の通りである. 1.Pt/SiO_2系粒状金属膜(GM膜)の電気伝導機構: 薄いGM膜の場合, GM中の金属の濃度が40%付近でアンダーソン局在と呼ばれる金属-絶縁体転移が生じることが明らかになった. 一方, 膜厚が厚くなると, 一旦生じかけたアンダーソン局在が低温で再び消滅する結果が得られた. スピン軌道相互作用によるアンダーソン局在の抑制を指摘した. 2.光-化学エネルギ変換への応用: 水の光分解用半導体電極の安定化と高効率化を目的として, Si表面にGM膜をコートした電極の光電気化学的特性を調べた. その結果, 酸素発生の過電圧が白金電極より約0.7V低減できることが明らかになった. 3.GM膜のガスセンサへの応用: Pt/TiO_2系GM膜は, 酸素及び水素の両方に感度を持つセンサ材料となることが明らかになった. 膜の抵抗は水素を導入すると減少し, 逆に酸素を導入すると増加した. Ptの含有量を変えて測定した結果, GM中の金属の量が増加して金属的伝導を示すようになると感度が全く無くなることが分った. 4.複合酸化物薄膜:GMがあらゆる金属の組合せに対して形成される訳ではない. 各種の複合金属膜を酸化させるとどのような複合酸化膜が形成されるかを系統的に調べた. その結果, 金属のイオン半径の相対的な大きさによって, 複合酸化物が形成される場合と, 酸素酸塩が形成される場合の有ることが明らかになった. 5.粒状半導体薄膜(GS膜): GMを発展させることによって, 半導体微粒子の分散系の製作を試みた. Si/SiO_2系GS膜において, 微粒子化によるバンド端のシフトと吸収特性の異常が観測された.
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