研究概要 |
61年度は良好な膜作成条件を確立するために磁極露出形(EP)マグネトロン部分を改良し, 新しいスパッタ装置を作製した. 垂直ヘッド用co-zr膜作成を中心にこのスパッタ法の有効性について検討した. その結果, 膜推積速度は投入電力に比例し, 低Arガス圧ほど高速で0.2Pa, 7.6w/Cm^2で約0.16μm/mnであり, 基板温度上昇も100°C程度であった. 作成膜は軟磁気特性を示し, 保磁力は0.25-1.00e, 飽和磁化は10-14KG程度であった. しかし, トロイダル, ディスク, シリンダーの3種類のターゲットで膜を作成するために, 膜組成が均一でなく, Zr含有率は10-20at%であることが明らかにされた. そこで62年度では, トロイダルターゲットのみを用いる磁極露出形(EP)マグネトロンスパッタ法を開発するために, プラズマ封じ込め磁界の発生を直流電磁石にした. しかし, 磁界を種々変化させても, トロイダルターゲットのみ侵触させることが難しいことが分かった. そこで, 磁界圧着形(CMF)マグネトロンスパッタ法の外周ヨークをターゲット面上に露出させた装置を作製し, Co-Zr-Nb合金ターゲットを用いて垂直ヘッド用軟磁性膜を作成した. 装置の直流放電特性, スパッタ特性を詳細に調べた. スパッタ条件を変えて作成された膜の物理・科学的特性や磁気特性評価を行った結果, 次に示す新しい知見が得られた. 放電特性はほぼ定電圧を示し, 低Arガス圧ほど印加電圧は低下する. 膜推積速度は投入電力に比例し, 低Arガス圧ほど高速で02Pa 44w/Cm^2で約0.13μm/mnであり, 61年度よりは高速スパッタが可能になった. 形成膜はアモファス軟磁気特性を示し, 保磁力は0.25-300eで真空装置の初期到達真空度, スパッタガス圧, 膜厚などに依存する. 和磁化はスパッタ条件に影響を受けずに, ほぼ一定値14KGであった. 今後はマグネトロンの磁気回路を更に詳細に検討すべきであり, エロージョンとの関係を明確にしたい.
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