研究概要 |
種々の金属(Au, Ag, Ni, Cu, Al, W, Pt, Mo, Cr)を蒸着およびスパッタリングによってSi基板上へ堆積させ, 作成した金属-Siショットキー接触の障壁高さ, 実効リチャードソン定数などのダイオードパラメータを, 独自の考案による新しい光電的測定法によって測定し, これらの金属膜厚による変化, 堆積方法による相違を調査した. その結果障壁高さはいずれの金属においても400A2F3(コード)以下の膜厚では, 膜厚によって明らかに変化が見られた. また, 実効リチャードソン定数は金属の種類によって明らかに異った値を示すとともに, いずれの金属においても膜厚による顕著な変化を示した. 特に金属薄膜をスパッタリングによって堆積した場合には, 蒸着による場合よりも一層大きな膜厚依存性を示した. これらの原因を調査するため1000〓のPt電極膜をスパッタリングによって堆積する間にSi基板を500°Cまでの種々の温度に加熱して, 障壁高さ, リチャードソン定数の変化を測定した. その結果, Pt膜厚の変化に対する依存性と極めてよく一致しており, さらにオージェ電子分光による界面でのPt原子とSi原子の濃度分布の観測より, リチャードソン定数の著しい変化が界面での相互拡散層の増大とシリサイド層の形成に起因していることが明らかになった. シリサイド層における組成の変化が何故リチャードソン定数の変化として敏感に反映されるのか, 計算機シミュレーションによる接触界面のモデル化とともに, ESCAによる界面領域での微細な組成分析を今後も続行する予定である.
|