研究概要 |
1.針電極の問題点の指摘と解決〜従来使用されていたトリーイング針〔O社(日本)製〕の針端曲率半径のばらつきが公差をはるかに超えていることを見出し, 指摘を行った結果, 適切な対策が取られた. 2.「簡易Mason電極」の開発と耐トリーイング性試験〜鉄針挿入式の電極系に種々の問題があるため, 過去に試みられながら電極形成に手数がかゝり過ぎるなどの理由で長らく顧みられなかった「Mason電極」と, 現在一部で使われている「半導電性針電極」の特長を取り入れた「簡易Mason電極」を考察し, ポリエチレンおよびポリメチルペンテンの耐トリーイング性試験に試用した. その結果, 従来の針挿入式電極系に比べてはるかに試験片作製にあたって歩留りが良く, またデータのばらつきが少いことが確認された. 3.電界発光計測システムの開発〜2.の成果に基き, 簡易Mason電極を形成した試験片に電界発光観測用の光ファイバ・プローブ6本を装着する方法を確立した. また, 光電子増倍管を用いた単一光電子計数法による測光システムを作成した. 4.発光の観測〜光ファイバ・プローブの一端からの出力光を上記測光システムで観測した. 交流(50Hz)8KV以上で各サイクルの電圧が最大となる直前に光パルスが観測された. たゞし, 同時に部分放電検出器によりモニターした放電々荷量が数PCのレベルであったことから, この発光は電界発光ではなく, 微小放電によるものと推定された. 5.今後の問題点〜4.の結果から, 絶縁材料測定に光ファイバ・プローブを用いることが有効であることが確認された. さらに微弱な電界発光を観測するには, 測定システム全体の感度およびS/Nの改善が必要であることが明らかとなった.
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