研究概要 |
1.ITO/Se太陽電池において, 多結晶Se層の厚みを薄く形成することが可能になり, 直列抵抗が低減し, 光電流の増大が計れたため, Se太陽電池で変換効率が大幅に向上し, また開放電圧の向上を目指したITO/TiO_2/Se構造を提案し, 変換効率5%以上のものが実現できた. 2.効率の向上および歩留りに大きく関係するITO透明導電膜の作製を試み, 成膜条件と太陽電池特性との関連を求めた. 特にITO薄膜の最適化をその場で行う手段としてプラズマ分光解析を用い, InとOの発光強度比と膜特性との間に相関関係のあることを見い出した. この方法により, ガラス基板上でシート抵抗5Ω/口, 透過率82%のITO薄膜が得られ, これを用いることにより, 特性が安定したSe太陽電池の作製が可能となった. 3.ITO/TiO_2/Se構造太陽電池の信頼性試験を温度試験を中心に行い, 目標とした120°Cの状態で特性が安定していることが確認でき, 実装技術についても問題のないことが確認できた. さらにこの構造でカラーセンサとしての機能をも検討した. 4.新しいSe系太陽電池を開発する目的で多結晶薄膜CuInSe_2の形成法を検討した. 多元化合物薄膜の組成制御が容易で, 太陽電池の大面積化が可能な高速基板回転スパッタ装置を開発し, これによって形成されたCuInSe_2薄膜の諸特性を調べた. 現在, この膜を材料としたSe系太陽電池を作製しつつある.
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