研究概要 |
ブリッジマン法で化学量論的組成よりテルルを僅か過剰にして, 真空度2×10^<-5>Torrの石英管内で作ったカドミテルライドはP形で, 電気抵抗率が10^2〜10^3Ωcmであった. キャリアの温度依存性によって求めた活性化エネルギーは0.53eVで, そのキャリアはテルル格子位置を占めたアンチモン, 燐, クロムからである. クライオポンプで石英管内を3×10^<-7>Torr真空排気して作ったカドミテルライドはp形で, 電気抵抗率が10^6〜10^8Ωcmであった. そのキャリアの温度依存性によって求めた活性化エネルギーは0.086eVで, その活性な不純物は酸素である. 真空度の違いによるカドミテライド中に含まれる不純物の種類と量の差はなく, その源は結晶成長に用いたカドミニュウムとテルル中の不純物であった. 高真空度の石英管内で成長させたカドミテライドのホトルミネセンスは, トラベリング・ヒータ法での高抵抗率のp形のものでも測定されている1.591eVの強い輝線だけでが測定された. 低真空度の石英管内で成長させたものは, 1.591evの強い輝線スペクトルと1.45eVと1.555eVに広がったホトルミネセンス・スペクトルであった. 1.45eVと1.555eVのスペクトルはA-D対からの発光である. このA-D対を作っているアクセプタはカドミニュウムの空孔で, ドナは確定出来ない不純物である. すなわち真空度が低いほど, カドミニュウムの空孔密度が高いことを示している. また赤外吸収は石英管内の真空度が高いほど, カドミテライド中の酸素量はすくないことを示した. カドミテライド中の多量の酸素の存在はテルルの格子位置を占めV族の不純物の量を増加させ, カドミニュウムの空孔の多量発生を促す. したがってこのカドミテライドは強いp形になる. 高い抵抗率のカドミテライド結晶を成長させるためには, 成長に用いる石英管内を高い真空度に排気し, 化学吸着した酸素の焼きだしを十二分する必要がある.
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