研究概要 |
本年度は環状演算要素の通信プロトコルの検討及びそのプロトコルを実現するためのハードウェア,ソフトウェアの設計、試作、並びに本汎用並列処理装置をデータフロー計算機に応用することを研究した。 1.環状演算要素の通信プロトコル及びそのハード,ソフトウェアの開発 本演算要素は本演算装置の基本要素であり、高性能並列計算機を実現する上で演算要素内の高速データ転送能力と自立的動作、隣接要素とのデータ交換能力に優れた特性を備えていなければならない。したがって、本演算要素の通信プロトコルとしては(1)スループットが大、(2)転送遅延時間が小、(3)複数演算要素間の同時通信能力、(4)フロー制御能力(5)ACK返送手順、(6)ディドロックフリー等の条件を満すことが要求されよう。そのため、本研究では8個のトークンを持つマルチトークンリング方式を基本とし、しかも各スイッチ128個のパケットを格納できるバッファを備えるトークンとバッファ挿入方式を合せたプロトコルを採用することにした。現在このプロトコルを実現するハードウェアを試作し、実験中である。 2.データフロー計算機への応用 データフロー言語の開発を計画していたが、東北大学でVAX/11用に開発したデータフロー言語ASLを本学科のDGMV10000/SXに移植することで、この問題を解決した。次に、このデータフロー言語で記述されたプログラムのコンパイル結果から、データフローグラフを導出する方法につき考察し、スタックを巧みに利用することでこの問題を解決した。導出されたフローグラフは多重2進木となる。更にこの多重2進木を面積が最小にするように本並列処理装置にマッピングする方法について検討し、従来のマッピングアルゴリズムを大巾に改良した。以上の結果の大部分は学会等で発表した。
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