研究概要 |
非単調論理における諸研究を有機的に組み合せることによって概念学習システムを構築することが本研究のテーマであった. まず, 非単調論理の諸研究のうち, 本研究において重要な位置を占めるのは, 真実保持システム(TMS)における関係依存型後戻り機構と, J.McCarthyの提案したサーカムスクリプションである. 以下に, これらの理論を用いて本研究において構築した学習システムの特長について述べる. 1.矛盾原因の発見: 節形式で表現れた知識ベースにおいて, ある質問に対する推論で矛盾が存在することが分かった時, 矛盾解消のためには矛盾原因を探索することが必要である. この探索は, 関係依存型後戻り機構によって行なえるが, 計算量が大きい. そこで本研究では, 矛盾を論理的な両立不可能として, 特別な述語についてだけ陽に制約条件として記述した. これによって, 探索の範囲は大きく減少した. 2.サーカムスクリプションによる矛盾解消: 1.によって求められた矛盾原因の節には, 本体部に例外を表わすための述語を付加することにより一応矛盾解消できるが, このままでは陽な表現ではないので利用が難かしい. そこで, サーカムスクリプションにより, 付加された述語の陽な定義を計算する. これによって, 知識ベースは無矛盾かつより精密化されたものになる. 3.新概念の学習: 2.のプロセスを, isa関係で結ばれた解層型の知識ベースに適用すると, 矛盾解消のために生成された述語に新しい概念が対応し, サーカムスクリプションによってその新概念の定義を求めることができる. 以上, 1.2.3.の枠組みにより, 非単調論理を応用した概念学習システムを構築した.
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