研究概要 |
1.線図形からの特徴点の抽出法の比較研究 線図形の特徴点のうち, 屈折点・変曲点・直線から曲線への推移点を抽出するための5つの方法を比較した. 比較実験はテンプレートを用いて描かれた流れ図記号にたいして行った. 結果として, 各方法とも一長一短があることがわかった. 今後, データ数を増してさらに実験を続ける予定である. 2.二値画像の形状解析に関する新しい手法 線図形の屈折点を抽出する方法として, 新たに, 線図形の局所対称性に基づく方法を考案した. 実験結果では, 使用するパラメータの値にあまり依存せず, 視覚的に妥当な抽出結果が得られた. さらに, このようにして抽出された屈折点間の対称性を評価することにより, 線図形の対称軸を決定する方法を提案した. この方法は, かなり変形したり, 部分的に隠ぺいされたりしている図形にも適用可能である. また, 線図形を線セグメントに分解し, 対応する線セグメント間のマッチングを試みることにより, 2つの線図形の間の類似性を計ることを考えた. 3.高速細線化法および画像の構造解析法 二値画像の細線化法として, 距離変換を用いて逐次処理により高速に細線化する方法と, 従来の4サブサイクル並列細線化法に代わる2サブサイクル高速並列細線化法を提案した. また, 濃淡画像の細線化法として, 逐次処理と並列処理を組み合わせた高速手法を考案した. 二値画像を意味のある部分構造に分解する方法についても着想を得て, 目下実験を進めている. 4.図面の認識における図面構造の把握 流れ図を対象として, 境界の種類分けを用いた対境界追跡法により図面から記号・流れ線・文字を分離する手法を示した. また, 拡散手法の一種を用いて図面の特徴点を細線化操作なしに抽出する方法を比較検討した. さらに, 図面の部分構造の認識と全体像の理解とのあいだの制御の移行方法についても考察した. 5.カラー画像における形状解析 カラー画像の認識や両眼視における左右カラー画像のマッチングにおいて, 上で開発してきた形状解析手法を利用する研究を進めている.
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