研究概要 |
外部共振器付き半導体レーザ(LD)の駆動電流変調と同時に, 外部共振器を構成する外部鏡からの戻り光の位相を, 同一の信号源からの信号で同期してFM変調することにより, FM雑音を低減したままFM変調効率を著しく改善できることを理論と実験で確認した. (1)「110kHz正弦波同期FM変調実験」戻り光の自動位相制御(APC)を行わない場合には, フィードバックパラメータξが5程度以下の場合に, ξ≒1付近を除いて, FM雑音は単独LDの値の約1/(1+ξ)^2倍に低下し, ξ=5の時, 1/27に低下した. 一方, 同期FM変調時の変調効率は, 外部共振器長L(≒18cm)の変調振幅ΔL_mの増加と共に単調に増加し, ΔLm=(λ/2)(Δf_m/f_<6x>)のときに, 従来の直接FM変調効率の(1+ξ)倍, すなわち, 単独LDの変調効率1.6GHz/mAに回復した. さらに, ΔL_mを増加するとFM変調効率は増加し, 単独LDの値の約8倍の13GHz/mAが得られた. ここに, λは光波の波長, Δf_mは正弦波電流変調した単独LDの最大周波数偏移, f_<6x>は外部共振器周波数である. なお, APCを併用した場合の同期FM変調実験では, ξの上限は0.8であり, 戻り光がない場合に比べて, FM雑音の低減は2.4dB, FM変調効率は5倍の7.9GHz/mAであった. APCを40分間併用することによって, 戻り光位相変動を約1/20の14度以内に抑圧した結果, FM信号波振幅変化を0.2dB以内に, FM雑音の変化0.8dB以内に安定化できることを確認できた. (2)「11MHz正弦波同期FM変調実験」ξ=1.2〜2.5の場合に, リチウムニオベート光位相変調器を用いて戻り光の位相変調を行い, 変調効率とFM雑音が上述の理論に従って同様に改善されることを確認した. なお, APCの位相誤差信号レベルが小さくて, APCを併用した変調実験は行えなかった.
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