研究概要 |
1.接合内部への小形整合素子と同軸線路に設けたインピーダンスステップの併用により, 広帯域6開口マジック接合を開始した(中心周波数9.45GHz, 帯域幅約1GHz). 2.6個の発振器の電力合成運転系の構成法を次のように明らかにした. まず, 小形マジックT(MT)の両側分岐へ対称に2個の発振器を, H分岐へ発振器基準面での位相角がπ(約±π/4程度の誤差余裕をもつ)で, 絶対値が0.3〜0.6程度の反射係数をもつ回路を接続すれば, 両電力は安定にMTのE分岐へ合成される. 更に, この電力合成系3組のE分岐を上記の6開口マジック接合(MJ)の3個の方形導波管へ対称に, 円形分岐へはMTのH分岐へ接続した回路と同程度の反射係数をもつ回路を接続すれば, 合計6個の発振器出力をMJの同軸側負荷へ完全に合成できる. 3.方形導波管の両側壁に寄せたポストの上下に計4個のガンダイオードを装荷した4素子マウントを開発した. このマウントN個を管軸方向へ並べて構成する4N素子発振器の設計式を示すと共に, 試作発振器で実験を行い, 2段8素子発振器で95.1%, 4段16素子発振器で94.3%, 6段24素子発振器で88.3%の電力合成率を得た. 4.2個の24素子発振器をMTで結合して48素子発振器系を構成し, 最大85.5%(MTのみによる合成率99.6%)の電力合成率を得た. 5.6個の24素子発振器を2.で述べた方法で結合して144素子発振器系を構成した結果, 約3.8Wの出力と78.9%の電力合成率(結合回路系のみでは92.6%)を得た. この出力は1素子の平均電力33.5mWの約113倍に相当し, 1素子の100倍以上の電力を得るという当初の目的を達成した.
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