研究分担者 |
千野 直一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90051531)
冨田 豊 (富田 豊) 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50112694)
堀内 敏夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80051019)
鈴木 登紀男 慶應義塾大学, 理工学部, 名誉教授 (40050926)
南谷 晴之 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (70051779)
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研究概要 |
本研究では脊髄損傷や脳障害などによる四肢麻痺者の運動機能回復をはかることを目的として, マイクロコンピュータ, 電気刺激回路, 角度および張力センサ, AD変換器, DA変換器, 刺激電極からなる機能的電気刺激システムを開発し, これを用いてとくにヒトの下肢の足首関節角, 膝関節角および腓腹筋筋張力の制御実験を行った. 関節角のフィードバック制御については制御対象の刺激応答特性を同定し, 伝達関数を明らかにした後に, その結果にもとづいて設計されたPID制御器によって伸展・屈曲の2方向を独立に制御できる方法を取り入れた. また, PID制御器に目標値入力を変換する新たな制御要素(目標値フィルタ型2自由度制御器)を付加することによってオーバーシュートや振動現象を低減化し, より安定な動作応答を得ることができた. 一方, 筋張力のフィードバック制御についてはディジタルPID制御器, モデュレータ, 刺激装置からなる制御システムを構成し, 定常偏差の少ない速応性のある下肢筋張力の制御を可能にした. これらは, 従来, 経験的に得られていた四肢運動制御の問題点である生体の個体差による特性のばらつきを考慮することなく, より高い再現性が得られる点で実用性の高いものになったと言える. 本研究ではさらに負荷の変動による特性変動を考慮して間接法離散時間モデル規範型適応制御器を設計し, 負荷荷重時, 負荷変動時の適応制御を行った結果, 比較的良好な制御特性を得ることができた. 以上, 機能的電気刺激による四肢麻痺者の動作フィードバック制御の可能性を明確にし, とくに下肢運動機能の回復をはかるための制御システムを構築し, その実用化への道を開いた.
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