研究概要 |
本研究では, ディジタル適応制御系に関する理論的考察を行うとともに, 高度の適応性を備えたディジタル適応制御装置設計のための支援システムを開発することを目的とした. まず, 理論面では以下の成果が得られた. 1.ディジタルコントローラ内での演算時間による制御遅れの影響について詳細に検討し, 新しい知見を得た. 2.確率系の最適制御問題について考察し, 適応制御系で達成可能な制御性能の限界を明かにした. 3.従来提案されているいくつかの二元制御アルゴリズムの問題点を指摘し, その改善法を明かにした. 4.ディジタル反復制御系の新しい設計方法を提案した. 5.Euler近似を用いることで, ロボットアームの離散時間をモデルを導出し, このモデルに基づき演算時間を考慮した軌道制御用ディジタルサーボ系の構成について考察した. また, このサーボ系を基本サーボ系とする反復制御系の新しい構成法を提案した. 以上の理論的成果を基に以下のような支援システムを開発した. 1.演算時間を考慮したディジタル最適レギュレータ, サーボ系設計支援システム 2.ディジタル適応固定器設計支援システム 3.ディジタルモデル規範型適応制御系設計支援システム 4.不確定性を考慮したディジタル反復制御設計支援システム 5.ロボットアームの軌道制御用ディジタルサーボ系設計支援システム 設計支援システム2, 3は補助人工心臓に対して適応制御系を構成するために用いられ, その有効性は動物実験により確認されている.
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