研究概要 |
本研究で得られた研究成果は, 以下の3点に要約される. 第1は距離・時間因子計測用歩行路システムの改良と援用コンピュータのレベルアップ, 第2は改良型歩行路システムによる測定実験と歩行分析, 第3はバイオフィードバック方式による歩行訓練システムの開発である. 第1の研究成果では, 援用コンピュータを高性能上位機種に変更し, データの算出・記憶能力の拡大を計るとともに, 装置の機械的・電気的な強度, 耐久性とメインテナンサビリティを考慮し, 電子回路部のプリント基板化, ケーブル類のシールドタイプへの変更などを実施した. 第2の研究成果では, 改良型歩行路システムによる測定実験を集中的に行い, 種々の歩行条件, 被験者層における歩行状態の一般的特徴を明らかにした. その主なものは, 速度変化と歩行パターンの関係, 各種拘束条件下における健常者の歩行状態の変化, 健常者と片麻痺患者の歩行状態に対する判別分析, 小児の歩行様態の確立過程の追跡, 脳性麻痺児の歩行特性の把握, などである. 第3の研究成果では, 現有歩行路システムをベースとし, これに更に歩行矯正, 訓練のための警報指示信号発生機能を組込んだ装置システムを開発し歩行計測, 分析, 評価から歩行訓練に至るサイクルを一貫してこなせるようなバイオフィードバックシステムを実現した. ハードウェアの基本構成は, モニターテレビを搭載した移動車を設計製作し, これを歩行路システムと併せ用いる方式であり, 距離因子はモニター画面で, 時間因子はブザー音の発生タイミングと高低でそれぞれ患者に教示される. このシステムを用いた応用実験では, 視・聴覚フィードバックとも被験者に効果的に伝達され, 現象的ではあるが, 患者の病的歩行状態は著しく改善されることを確認できた.
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