研究概要 |
冠状動脈の狭窄度をシネフィルム上で計測する際生ずる基礎的な問題点を検討した。1.血管ファントム辺縁抽出法の検討:血管ファントムに造影剤を満たしX線を照射しシネフィルムに撮影した。血管ファントムの径は7,5,3,2,1mmであり、造影剤の濃度は100,75,50,25%、さらに管電圧は84,74,60KVでそれぞれの組合せにて撮影した。また人の心臓の撮影を想定して、アクリル板を厚さ80mmに重ねた上にファントムをおいてX線を照射した。血管の辺縁抽出には4法、【I】視察による法 【II】1次微分法 【III】2次微分法 【IV】がウス函数近似法 にて比較した。まず造影剤濃度100%,管電圧60KVにおいて、各方法により求めた管径をxとし、血管ファントム径をyとして、y=ax+bで近似した。理論上はb=0であるが、実際には上記4法の内【IV】法により求めたb値が最も小さかった。また測定誤差を表わす変動係数も【IV】法が最も小さかった。さらに84KVでの4種の造影剤濃度より求めた平均変動係数も【IV】法が最小であった。このことからX線管電圧は可能な限り低くすること、血管辺縁の抽出は4法の内ガウス函数近似法が最もよいことが明らかとなった。2.冠動脈造影像における血管部位の推定:血管部を画面中央におき画像をとりこんだ。1画素はフィルム面上にて1辺4μmで、512×480画素からなる。画像の最外辺部の濃度値の列をループ状に配列し1次差分を求めた。こうして画素濃度値列を極大値を1個ずつ含むセグメントに分割し、セグメントの値をそのセグメント内の最大濃度値とした。画像のとり込み時に造影剤の濃度値が最大値となるように設定したので血管部位は最大濃度値として検出された。このようにして血管を横切る直線上で、血管部分は求められた。他方その直線上での辺縁部の検出については、前項で述べたことをも含め今後検討する。また血管辺縁を軸に沿った方向に求めることも今後検討する。
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