研究概要 |
本研究は, 海洋構造物を構成する要素部材あるいは外部力学系を能動的に制御することによって, 波浪中の海洋構造物の動揺を軽減する試みである. ここでは, 箱船を例にとりその外側板の一部をフラップ運動させ, その流体反力によって箱船の動揺を打ち消そうとするものである. 制御方式は, 外側板に働く流体力を検力計によって計測し, その信号によって直流モータを駆動する. その最適制御については, 外側板に働く流体力と動揺の間に一定の関係があり, 造波理論によって計算される. 昭和61年度の研究では, 減揺装置の主要目などを決定するために予備計算を行うとともに, 模型を製作しRadiationとDiffractionの実験を行った. その結果, 検力計によって計測される力の記録に駆動装置の機械ノイズが多く含まれ, そのままでは制御信号として利用するのが難しいことや, フラップ板がアクリル製であるために完全な剛板とすると説明できない力の成分があることなどがわかった. 昭和62年度の研究では, 前年度の研究結果から装置の改良を一部行ない, 実機で想定される使用状況を考慮してチェーン係留された箱船を横波中で動揺軽減実験を行った. 規則波中での実験の結果, 最適点では65%の横揺を軽減することができ, 制御系についてもローパスフィルタによって機械ノイズを除去することによって安定に運転できた. 横揺を軽減することによって他の動揺への悪影響はほとんどなく, この方式の有用性が確められたと思われるが, 駆動装置の機械部分と制御方法になお改善すべき点もあり, 今後の研究が必要と思われる.
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