研究概要 |
本研究による成果の内容は有限プリズム法による複合材料部材の応力波速度解析のモデル過, 複合材料部材と複合長方形梁部材の動的応答解析, および複合円板部材, 複合長方形梁部材の応力波速度に関する実験データ資料の検討に分けられる. 研究成果を研究計画に対応して列記すれば次のようになる. 1.有限プリズム法による応力波速度解析の結果から複合材料部材と母材との弾性係数比, 密度比及び母材の弾性係数の低下, クラックの発生が応力波速度に及ぼす影響を検討した. その結果, 応力波の波長が長い場合には複合材料部材の平均換算弾性係数と平均密度による速度と一致するとともに波長が短くなるにつれ, 母材の劣化の影響が強くあらわれることが明らかとなった. 2.超音波探傷法を応用してモルタルを母材とする複合材料を対象として応力波の伝播散乱に関する測定システムを試作開発し, 実験を行った. 供試体の合計は54体であり内部に鉄筋やクラックを想定した種々のInclusionを設けた. これらの実験により内部Inclusionが応力波の散乱に及ぼす状況を把握するための基礎データを得ることができる. 実験の結果, Inclusionの位置想定については室内実験では円形Inclusionに対して評定距離として10%以下の精度で実施できることが明らかとなった. 3.複合円板部材及び複合長方形部材を対象としてモード解析を応用して動的応答解析を行い, 2.で述べた応力波の実験波形と比較検討した. 実験での応力波の散乱結果の解析に理論解析を応用することにより, 複雑な実験波形の理解がある程度しやすくなる. これらの検討結果によれば, 今回の研究では応力波の入射初期において実験波形に相似な理論波型結果が得られるとともに, 理論的振動波形モードとの対応を検討する資料が得られた.
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