研究概要 |
貫入試験は地盤の強度試験の一種である. 土の強度は有効応力によって決定される. しかし貫入試験では一点において一つの有効応力の状態でしか試験できない. 地盤に強制的に間隙圧を与えることによっていくつかの有効応力状態のもとで試験できれば, より精度の高い強度定数が得られる. 本研究では, 任意の深さに相当する載荷重を上面より作用させることができる小型の模型土槽を用いて, 静的・動的貫入抵抗に与える間隙水圧の影響を調べた. つづいて, 同様の模型地盤を用い, 先端より任意の水圧または空気圧を与えることのできる貫入体によって地盤に強制間隙圧を与える実験を行った. 得られた結論はつぎのようである. 1)粘性土地盤における静的貫入試験では, 貫入速度のある範囲において, 貫入抵抗は貫入速度が小さいほど大きくなる. この理由は発生間隙水圧の消散が貫入速度が小さくなるほど大きくなり地盤が排水強度に近づくからである. 2)砂地盤への静的・動的貫入試験では, 同じ間隙比で比較すると, 間隙比の大きな場合は飽和地盤より乾燥地盤の方が貫入抵抗が大きく, 間隙比の小さい場合はその逆である. この理由は, ダイレイタンシーによって貫入時に発生する間隙水圧の影響で, 動的試験の場合はもちろん静的試験の場合でも貫入体の先端付近では完全な排水状態になっていないことを示している. 3)砂地盤に強制間隙水圧をまたは空圧によって与える静的・動的貫入試験の結果で, 貫入抵抗と先端での有効応力(上載荷重から与えた間隙圧を引いたもの)の関係は直線で示される. その勾配は土の内部摩擦角と関係している. また飽和地盤に水圧を与えた場合と飽和地盤および乾燥地盤に空圧を与えた場合とでは異なった直線に両者の関係はプロットされる. これは前述のダイレイタンシーによる発生間隙水圧の影響である. 以上のことからこの試験結果より地盤の内部摩擦角や液状化の可能性の推定が可能である.
|