研究概要 |
地震前後の航空写真測量結果を比較することにより, 1983年日本海中部地震における秋田港周辺及び1964年新潟地震における信濃川河口と阿賀野川河口付近の地盤の永久変位を測定し, 当該地域で収集された土質・地質条件を地表面変状写真等より永久変位の発生メカニズムについて考察を加えた. その結果, 以下のことが明らかにされた. 1.信濃川河口及び阿賀野川河口付近では10mに達する永久変位が観測された. 2.永久変位の原因は地盤の液状化であり, 永久変位の大きさは地表面の勾配や液状化層の厚さに強く影響を受けている. 3.永久変位発生の起点付近では地表面に多くの亀裂が生じ, 地盤は沈下を生じている. これに対し, 永久変位の収束する地域では噴砂, 噴水が多数認められ, 地盤は隆起する傾向にある. 本研究ではさらに, 橋梁基礎, 建物杭基礎, 護岸及び埋設管の被害データを収集し, 付近の永久変位との関連性について考察した. その結果, 上記2地震の対象地域における地震被害の多くが, 地盤の永久変位に起因していることが明らかにされた. 特に新潟地震による昭和大橋に関しては, 5mにも達した左岸側の永久変位, 橋脚基礎杭の変状及び目撃者の証言などから, 落橋の原因が地震動の慣性力でなく, 地盤の永久変位であると考えた方がより合理的であるとの結論を得た.
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