研究概要 |
本研究では, まず, コンポスト化過程における酸とアンモニアの生成について考察を行い, 発酵初期, 反応が急激に立上がる期において低級脂肪酸が発生すること, この期において極端なpH低下があると発酵が停止すること, アンモニアの発生はこの期の後に起こり, アンモニアの発生するようなpHの高い時期においては, 発酵速度が大きいことを明らかにした. アンモニア生成期においては, pHも高いため, 窒素分がアンモニアガスとして揮散する. 窒素分の揮散量は材料のC/N比によっても変わるが, 原料中の窒素分の50%にも達することが確かめられた. 窒素分の揮散量は, 材料のC/N比を高めれば, 減らすことができる. しかし, C/N比を高くすると, 発酵速度が低くなるため, 実用的にC/N比をあまり高くすることはできず, 発酵過程でのアンモニアの揮散は避けられない. そこで, アンモニアをコンポスト自身に吸着・回収することを考えた. コンポストが吸収できるアンモニア量は, コンポストの含水比および酸の量と直線的な関係があり, この両者が多いとアンモニアが多量に吸収される. コンポスト重鎮層によるアンモニアガスの吸着装置に関しては, 流入アンモニアガス濃度が数百ppm以下であれば, 吸収アンモニア量はガス濃度に関係なく一定であること, また, 同じ量のアンモニアを処理する場合, 濃度は処理効果に影響しないことが分った. 一方, コンポストに吸着されたアンモニアは, 一次発酵過程では, ほとんど硝化されないことが分った. このことは, コンポスト中の硝化菌の数からも確かめられた. 硝化の起きない原因は, 材料中のアンモニア濃度が非常に高いことにあると考えられた.
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