研究概要 |
本研究は, 二方向に水平加力を受ける腰壁垂壁付きRC柱の破壊性状を把握するために, 壁高さを3種, 柱剪断補強を2種, 加力方法を2種の組合せで異なる6体の上下左右対称の立体I型試験体を作成して繰返し加力実験を行ない, 数値モデルによる検討を加えたもので, 以下のような結果を得た. 破壊性状:剥落や圧漬の発生時期は二軸加力を行ったものの方が小さな変形で発生する傾向を示すが, 最終的な破壊状況に大きな違いは見られない. 荷重変形関係:二軸加力を行うと耐力あるいは変形能力が劣る傾向を示すが, 履歴ループ形状のピンチ効果は小さくなる. 壁高さが大きくても柱に高剪断補強を行えば最大耐力以後も良好な変形能力を確保できる. 耐力:曲げ初亀裂耐力は, 二軸加力を行った場合に開口端部に生ずる亀裂に対しては二方向の変形を考慮した二軸曲げ初亀裂耐力計算式で評価でき, 柱頭・柱脚部に発生する亀裂に対しては壁と直交する方向の変形のみを考慮した一軸耐力計算式が対応する. 剪断初亀裂耐力, 降伏耐力, 終局剪断耐力については実験値主軸方向成分が夫々の耐力計算値と良く対応する. 終局曲げ耐力は実験値が計算値を大きく上回る傾向を示すのでこの種の柱の設計では剪断耐力を充分に高める必要がある. 鉄筋の挙動:柱主筋の歪度は, 壁面内方向では開口部端ないしは壁より柱成の半分以下の範囲で移動した位置に最大歪を生ずるが, この移動量は壁の高さに対応して大きくなり, 壁と直交する方向では柱頭・柱脚近傍で最大となる. 二軸加力を行ったほうが柱主筋は圧縮時に降伏にいたる場合が多くなる. 各部変形:柱の曲率は壁面内方向加力時においても終局時には柱頭柱脚部での増大が最も大きくなる. 数値モデルでは, 加力方法の相違によるループ形状への影響の仕方の違いが実験における荷重変形曲線と同様の傾向を示した.
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