研究概要 |
本研究で得られた成果は次のとおりである. 1.繰り返し曲げを受ける一次元連続体サンドウィッチ梁-柱について, 定常状態増分変化の唯一性は, すなわち定常状態経路の唯一性のための十分条件式を誘導した. 2.本研究代表者らが提案した従来の対称限界理論は, 証明なしに導入した5個の基本仮定に基づいて構成されていた. 本研究では, 不明確な仮定を全く必要としない新しい対称限界理論を設立した. ここでは, 基本定常状態経路の上で, 定常状態増分変化の唯一性十分条件がはじめて満たされなくなる点として対称限界状態を見出している. 3.連続的振幅漸増完全両振り先端横変位を受ける片持梁-柱について, 新しい理論による対称限界解を求め, 従来の理論による解と一致することを示した. 4.両端単純支持の梁-柱が一定軸圧の下で漸増振幅完全両振り中央点横変位を受けたとき, 対称限界振幅において中央点横軸に関するたわみ形状の対称性が, 釣合経路の唯一性十分条件が破られることなく発生することを示した. これは, 釣合経路の唯一性に関するR.Hillの定理と矛盾する結果である. 5.剛体・ばね単純梁-柱モデルの履歴応答の閉型解析を求め, 逆対称たわみ成分の発生機構を解明するとともに, 4.で述べた矛盾を説明する明快な解答を得た. 6.定常状態経路の唯一性十分条件と, R.Hillによる釣合経路の唯一性十分条件との間の本質的相違点を指摘し, 両者の関係を明らかにした. 7.断面の対称軸と初期材軸線を含む平面内で連続的振幅漸増両振り先端横変位を受ける片持梁-柱について, 構面外たわみの発生機構を解明し, 対称限界理論を適用して構面内挙動限界を求めた. 実験によって構面内挙動限界の存在を実証し, 構面外たわみの成長過程を明らかにした. 8.連続的連続的振幅漸増完全両振り先端横荷重を受ける片持梁-柱の対称限界を求める理論を設立した. 実験によって, この対称限界の存在を実証した.
|