研究概要 |
本研究は, 合成ばりを有する鉄骨骨組の地震時挙動を明らかにするため, 構造物の復元力特性を数式モデル化することなく地震応答解析ができる電算機と試験機をオンラインで結んだ地震応答解析システムを用いて合成ばり骨組の地震応答解析を行うものである. 解析はEI Centro NS波を受ける合成ばり骨組について, 次の3点を行った. 1)コンクリートスラブの有無が鉄骨骨組の応答性状に与える影響 2)同一形状, 同一寸法の合成ばり骨組で, その固有周期の相違が鉄骨骨組の応答性状に与える影響 3)コンクリートスラブの剛性の相違が鉄骨骨組の応答性状に与える影響 また, 地震応答解析する合成ばり骨組の基本的な弾塑性挙動を得る目的で, 地震時荷重を対象とした単調載荷或は定変位振幅繰り返し載荷を受ける合成ばり骨組の復元力特性を求める実験が行われた. なお, 解析骨組は一層一スパンの実物の約1/2の大きさのもので, はり崩壊型となるように計画された. 固有周期は0.24秒から0.5秒で, 弾塑性応答解析の最大加速度は, 骨組の降伏加速度の約0.95倍に設定した. 結果をまとめると以下のようになる. 1)合成ばり骨組の最大応答水平変位は, 繰り返し載荷で得られた骨組の安定限界水平変位振幅より小さく, 合成ばりの最大応答回転角も安定限界回転角より小さい. また, 合成ばりコンクリートスラブには圧壊は生ぜず, 鉄骨要素の局部座屈も目視では観察されなかった. 2)固定周期が0.3秒の鉄骨ばり骨組にコンクリートスラブが付き固有周期が0.24秒になった合成ばりの最大応答水平変位は鉄骨ばり骨組のそれの約78%になった. 3)同一形状, 寸法の合成ばり骨組で, 固有周期が0.24秒の最大応答水平変位は固有周期0.42秒のそれの約94%となった. 4)コンクリートスラブの剛性の異なる骨組で, 固有周期0.38秒の最大応答水平変位は固有周期0.42秒のそれの約84%となった. 5)弾性応答解析より本解析システムの信頼性が示された.
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