研究概要 |
著者等の1986年4月以降の発表論文の主要な内容について述べる. 論文1では, 自励弾性系の安定性に関する線形化固有値解析手法はZiegler-Herrmann等によって1960年代に体系化されているが, その際に基本的な対象として採択されたmodelを新しく非線形解析を行い, 従来の結果とは異なるlimit cycle及びchaotic flutter域の存在を示した. 論文2, 3ではReut非線形modelにおいて線形解析でのdivergence域がlimit cycle域に変わること, chaos振動, 非自明divergence平衡点のまわりのlimit cycle振動の存在を示した. また, 論文3では, 超音速流下の僅かに曲率をもつ無限長円筒弾性panelにかなり広域にわたってchaotic flutter振動の発生することを解析的に示した. これはE.H.Dowellの平面panelが面内圧縮力との共働がなければchaosが発生しないのと著しく異なっている. なおこれらの結果は, pahase plane trajectory, Poincare map, Liapunov特性指数及びpower spectrumによって表されている. 論文4は非保存外力に対する弾性薄殻の安定性解析に対する非線形殻一般理論を新しく提案し, 論文5はその静水外圧を受ける周辺可動部分球形殻への, また論文6は接線従動外力下の円殻に適用した解析を示したものである. 特に円筒殻にはこの種の外力下でflutter型振動の発生はかなり以前から危惧されており, またそれらしき実験的報告もされているが, その存在の可能性を解析的に示したものである. なお論文4は従来の基礎的並びに歴史的理論の解説も加えて『殻非線形理論』なる書物(大学にて助成)として出版の予定である.
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