研究概要 |
大スパン構造物の屋根面に作用する風圧力の性質に関して, 二次元模型を用いた風洞実験により次のような結果を得た. 1)変動風圧力の性質は, 風上端部からの剥離流の再付着位置に大きく影響される. 2)再付着位置は, 接近流が勾配流の場合, 一様乱流の場合に比べて風上側に移動する. 3)接近流が一様乱流である場合, 変動風圧力は, 平均風圧力が風下側に急勾配で上昇する位置にピークを有する. しかし, 勾配流の場合はその傾向が薄れ, 風上端部に変動風圧力の最大値が見られる. 4)陸屋根における平均・変動風圧分布形状は, 接近流が勾配流である場合, スパン比にほとんど影響されない. 5)ライズ屋根の場合, 頂部より風下側の風圧分布は, スパン比の影響を受けず, ライズ比により決定される. 6)変動風圧力のパワースペクトルは, サグ屋根および陸屋根の場合, 風上端部を除き特定の周波数にピークを持つ. 高ライズの場合は, スペクトル形状にこのような傾向は見られず, 接近流の風速変動のスペクトル形状に類似している. 7)変動風圧力の空間相関性は, 風上端部と再付着点以降風下の点に関しては, 剥離泡内での渦の生成と放出に関係する. しかし, 再付着点以降風下の領域内では, 圧力変動が相関性を低減させながら一定の速度で流下していると見なせる. 8)一様乱流・陸屋根の場合に限って言えば, 準静的風圧力は, 風上端部付近および軒高の4倍以上の風下の領域では, 変位と同位相の成分が支配的であり, その他の領域では逆位相の成分が支配的である. 9)振動時の変動風圧力のパワースペクトルは, データ解析の例が限られているが, 非振動時とは異なり, 振動周波数で顕著なピークを有する. このピークは, 振動周波数が渦発生振動数に近い程大きい.
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