研究概要 |
給水管路内の圧力損失の実験研究において, 当該年度では次の研究実績があった. (1)配管径25mm, 32mm, 40mm, 50mmの水道用塩化ビニルライニング鋼管を使用して実験管路を組立てた. すなわち, 直管路の場合, 管径が途中で縮小する場合, および分岐がある場合である. これにより, 作成したシミュレーションプログラムによって自動操作による実験を行った. (2)直管路の場合, 流量変化を洗浄弁2つによる重ねあわせ使用時で発生させ, その時の管摩擦損失を計測した. そして, 流量の時間変化率により, 管摩擦損失はその変化を的確に表わしうることが明らかとなった. (3)配管径が管路途中で変化する場合, その継手部分の摩擦損失に対しても, 流量の時間変化率による表わし方は有効であることを確かめた. そして, この場合には, 縮小された細い管径の管の摩擦損失の変化と同程度の傾向であることが明らかとなった. (4)配管中に分岐がある場合, 2つの種類の実験を行った. 直流側で先行して流れがあり, 後に分流側で加えて流れが生ずる場合とその反対の場合である. 前者は後者に比べて圧力損失が大きくなる. これは流量の変化割合が, 分流側に対して大きいためである. 摩擦損失の変化も流量の時間変化率で表わすことができた. しかしながら, 分流前と分流後の2方向の流量変化率をより詳細に計測することが今後の課題である. 以上の経過により, 非定常圧力損失は流量変化率で定式化することができることと, 今回の実験の範囲内では従来の摩擦損失を求める方法は適用できないことが明らかとなった.
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