研究概要 |
本研究の特徴は, 在宅で多様な形態をとりながら営まれている高齢者の生活実態を, 高齢者自身の主体条件, 生活条件(家族条件等), 実際の生活側面を軸にして類型的に捉えられることによって, その類型毎の生活問題構造と社会的サービス要求構造を考究したところにある. 本研究で得られた結果を以下に要約する. 1.仙台市のねたきり高齢者の出現率は2.1%, 準ねたきり高齢者のそれも4.0%となり, その中心が後期高齢者の女性層である. 2.痴呆性高齢者について問題行動で判断した場合, その出現率は4.8%である. また, いわゆるねたきり高齢者と同様の日常生活での要援護層, 比較的健康で行動性のある目の離せない層, 比較的手間を要しない層, 経度な症状をもつ層に大まかに分かれることが明らかとなった. 3.高齢者の中で最も生活困難等が生じやすいと思われる, 日常生活で援助を必要としている層について, 日常生活動作能力と援助必要度を基に類型化し, 経済や住宅などの生活構造, 家庭介護力の低下などの介護問題を把握した. 4.主に福祉サービス要求の現れ方と, 要求層の条件構造との対応についてみると, 現在制度的に実施されている諸サービスに対する利用要求は低く, 新しいサービス形態を希望している傾向が明確に示されており, また施設(入所型)に比べると在宅サービス要求が中心となっていることが判明した. 5.独居老人, ねたきり高齢者, 高齢夫婦の状態変化をみると, 同一状態に留っている割合は低くなり, 特に高齢者夫婦では変動が激しく, 不安定な生活階層である. 一応同一状態に留っている層の変化をみると1割から2割前後で条件が微変動しながらもその状態を継続している姿を捉えることができた. 問題階層では社会的な援助が少ないままでは安定した生活を維持することが困難な諸相が把握できた.
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