研究概要 |
1.文献や収集した資料等から参道空間の整っている神社・寺院の参道の形態, 社殿の配置等を検討し, 41神社・27寺院を対象に調査を行った. 調査では, 参道の折れ曲がり, 勾配, 植栽の様子等を記録し, 空間的雰囲気の変化する分節点に従いカラーパノラマ写真を撮影した. また, 神職・住職に聞込み調査を行い, 参道の状況や歴史的変遷についても資料を得た. 2.参道の物理的構成を調査記録を基に, 形態的アイテムとして参道の長さ・立地条件・平面型・断面型・レベル変化・参道の起点・終点の高低差などを, 空間的アイテムとして参道のシークエンスのタイプ・分節点数等, 神社では10アイテム41カテゴリー, 寺院では13アイテム48カテゴリーに分類し, それぞれ該当の有無を類似度としたクラスター分析(最長距離法)を行い, その結果神社5タイプ(直接単純型・鵜戸型・屈折高揚型・平地有水型・地形演出型), 寺院7タイプ(山麓直線型・山麓回遊型・山麓曲折型・深山登坂型・深山上下型・山麓平地型・市街地平地型)に類型化できた. 3.カラーパノラマ写真を用い, 分節点ごとに空間の心理評定をSD法(16心理因子軸)により行い, これを基に心理量シークエンス図(神社656図・寺院432図)を作成した. これから図の形状により神社・寺院の各心理因子軸ごとに分類し, クラスター分析(最長距離法)を行い, その結果神社・寺院ともに5つの心理的シークエンスのタイプにわけることができた. 4.神社・寺院の物理的構成と心理的シークエンスの相関関係について, 上記のクラスター分析で得られたタイプを基にマトリックス図を作成し, 全ての神社・寺院をプロットすることにより, それぞれの空間的特徴を解明することができた. 例えば, 参道の折れ曲りが分節点と一致しているか否かで, 前者は折れ曲がりとレベル変化, 後者は植栽・燈籠の配置の疎密により, 期待感など心理的高揚を招くと考えられる.
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