研究概要 |
1.研究目的:本研究は粗粒子スラリーの管内流れの圧力変動に及ぼす固体粒子濃度, 粒子径および微粒子添加の影響, 流動状態と圧力変動, 助走域の圧力変動ならびに固液混相流の圧力変動解析に関する基本的研究を行い, 粗粒子スラリーの水撃現象の解明と予防に資することを目的としたものである. 2.研究計画:(1)定常域における圧力変動に及ぼす固体濃度および量子径の影響について調べる. (2)助走域における圧力変動特性を調べ, かつ助走区間の距離について考察する. (3)粒子の流動状態と圧力変動との関係について調べる. (4)圧力変動と微粒子添加量との関係について検討する. (5)圧力変動の確率密度関数の関数形を最大エントロピー原理(MEP)により推定する. 3.研究成果:(1)定常域における最大圧力変動は, 濃度ならびに粒子径の増大に伴い増加する. ただし, 約2mm以上の粒径範囲では粒径の影響を受けない. (2)最大圧力変動量は粒子供給点からの距離の影響を受け, 高流速域では下流ほど変動量は小さくなる. また, 低流速域では濃度が低い場合にはあまり影響を受けないが, 高濃度の場合には粒子塊を形成し, 下流においても大きな変動が認められた. (3)圧力変動は, 粒子の流動状態の影響を受け, 摺動層流れから堆積層流れへの遷移領域において最大となる. また, 管内にdumeに似た粒子塊が形成される場合には変動量が大きくなることが分った. さらに, 流体ならびに粒子の速度変動と圧力変動とは密接な関係があることが分った. (4)圧力変動は微粒子添加量の増加に伴い減少することが分った. また, 粗粒子の流動状態の相違により圧力変動量の減少に差が認められた. (5)固液混相流の圧力変動に確率密度関数の関数形はMEPを基に検討したところ, 底流速域では4次モーメントまでを, また高流速域では2次モーメントの制約条件としたMEP分布に表しうることにより, 全体としては4次モーメントの制約条件によって表しうることが分った.
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