研究概要 |
本研究は, 未利用珪砂資源の開発利用の基礎研究として, 珪砂の鉱物組成, とくに微量不純鉱物の種類と含有状態を明らかにし, 選鉱・用途などに対する基礎データの提供を目的とするものである. 山形県最上地方および置賜地方の珪砂鉱床を対象として研究を行った結果, 次のことが明らかになった. (1) 水洗珪砂では, 粒度が細いほどAl_2O_3, Fe_2O_3含有量が高くなっている. 水洗珪砂中のAl_2O_3は主に長石に由来するもので, 用途に応じある粒度でアンダーカット, または浮選により長石を除去する必要がある. (2) 石英粒は火山岩源および花崗岩源のものを主としと, わずかに珪室岩源のものを含んでいる. 火山岩源の石英粒中には, しばしば微細なガラス含有物が含まれ, 花崗岩源の石英粒にも微量ではあるが, 結晶包有物や流体包有物が含まれている. 結晶包有物は, 燐灰石, 黒雲母, 角閃石, ジルコンなどで, また流体包有物には高塩濃度のものが認められる. これらの包有物は, ガラス原料としては問題にならないが, 高純度シリカ原料としての用途にはこれらを考慮する必要がある. (3) 珪砂中の重鉱物としては, チタン鉄鉱が主で, 磁鉄鉱, マグヘマイト, ジルコン, 緑簾石, 黒雲母, 角閃石, 輝石, その他を伴っている. 磁鉄鉱/チタン鉄鉱比は1/15〜1/20程度である. マグヘマイトは磁鉄鉱の変質により生じたものである. またTi鉱物として鋭錐石, 金紅石が認められ, これらは二次鉱物の白チタン石を構成するものの他に砕屑粒として含まれるものがある. これらの重鉱物の大部分は, テーブル選鉱, アンダーカット, 磁選などにより除去することができる. (4) 重鉱物の中には, 少量ではあるが, 紅柱石, ジルコンのような難溶性鉱物が含まれている. 板ガラス原料として用途には, これらの難溶性鉱物の除去が必要である.
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