研究概要 |
磁場によるスピン揺らぎの凍結が一連の弱い強磁性体及び強い常磁性体の低温での比熱と電気抵抗において観測された. 弱い遍歴電子強磁性を示す. 24.1, 24.3, 24.4at%Im組成のSc_3Imにおいて, 零磁場でのキュリー温度, Tc(0), での比熱のピークと抵抗のふくらみは, 磁場の増加と共に小さくなり, 10Tでは磁気的エントロピーは零磁場値の11〜19%にすぎなくなる. スピン揺らぎの特性温度がTc(0)に等しいと仮定することによって, Sc_3Inの実験結果は磁場によるスピン揺らぎの凍結の考えから系統的に解析できる. Hfl: xZrxZm_2(0≦x≦1)とTiBe_<2-x>Cu_x(0≦x≦0.2)は, 組成x=0で強い常磁性でXの増大と共に弱い強磁性へとその磁気的性質を変える典型的な遍歴電子磁性体である. これらのラーベス相化合物のスピン揺らぎの強磁場効果の研究は, 15T OD の強磁場の下で電気抵抗測定を, また10Tまでの磁場の下で低温比熱を測定することによって行なわれ, Sc_3In計と類似の結果を得た. 例えばX=0.8〜1.0の組成をもつHf_<1-x>Zn_2化合物では, 10Tの磁場の下では零磁場の場合と比較し, 27〜30%電子比熱係数が減少することが見い出された. 更らに, このスピン揺らぎの磁場効果の現象は, 高く励起された常磁性体の低温比熱においても見い出される. RCo_2(R=Sc, Y, Lu)化合物, 0.47及び0.97at%Ni組成の稀薄Pd-Nl合金, 混合原子価eSn_3化合物において, 電子比熱係数が磁場の増加と共に減少(10Tでは, それぞれ7%, 4%, 10%, 12%, 13%, 28%)する. 以上の結果は, 磁場によるピン揺らぎ励起の抑圧に原因するものと思われ, 最近の理論的予見と一致している.
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