研究概要 |
金属間化合物・規則合金は新しい機能材料として, あるいは高強度・軽量耐熱材料として種々の分野で実用化されつつある. しかしこれらの材料中での格子欠陥の存在はそれらの機能を低下させる大きな原因となる. したがって, これら機能材料の性能を十分に発揮させるためには, これら格子欠陥の状態を明確に把握し, その存在量や存在状態をコントロールすることが不可欠である. 本研究は陽電子寿命測定法を用いることにより, 規則合金中の原子空孔およびartistructure atom(ASA)などの点欠陥濃度の組成・温度依存性を明らかにすることを目的として行った. 以下にその結果を要約する. CuZn(B2型):空孔熱平衡濃度は比較的高く陽電子寿命はTc(740K)以下で飽和する(170PS), Tc付近では規則度の低下に対応した5PS程度の寿命の上昇が認められる. これらの現象は我々の欠陥濃度評価式でよく表現される. AuCd(B2型):47.5%Cd合金は300K付近でマルテンサイト(M)変態を示すが, 空孔の形成エネルギー, 移動エネルギーはM相の方が母(P)相より大きい. このためP相に逆変態したとき空孔濃度は急激に増加する. またP相で存在していた多量の空孔が変態に際し過飽和にM相にとりこまれ, M相の時効現象の原因となる. Cu_3Au(L1 2型)規則-不規則変態に伴わない格子定数および原子空孔の形成エネルギーは約1.42±0.09eVとなることが見出された.
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