研究課題/領域番号 |
61550481
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成田 舒孝 京大, 工学部, 助教授 (10026213)
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研究分担者 |
東田 賢二 京都大学, 工学部, 助手 (70156561)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 水素脆性 / 鉄合金 / Fe-Si合金 / Fe-V合金 / グロー放電 / 相変態 / プラズマ |
研究概要 |
本研究は、高い水素逃散能環境を作り出すグロー放電水素プラズマ内において生ずるFe系合金結晶の脆化現象とその原因を明らかにするために行われたものである。用いた試料は、Siを2.5〜4.5wt%含む鉄合金およびVを4〜18wt%含む鉄合金であり、得られた結果は次のように要約される。 1.水素グロー放電の環境下では、用いたいずれの試料も空気中や1気圧水素雰囲気中に比べて著しく脆化する。グロー放電中に試料へ荷重を負荷した場合、その負荷応力が大きいほど脆化が速く進行する。 2.Fe-V合金のグロー放電による脆化は、Fe-Si合金のそれよりも顕著で、V濃度の多いFe-18wt%V合金では、降伏応力の10分の1の負荷荷重のもとでさえ、グロー放電開始後1時間以内に破断する。 3.グロー放電による水素脆化破面は、用いたいずれの合金においても、結晶面{100}と平行であり、その破面形態は一般的な水素脆化破面と極めて類似している。 4.グロー放電下で破断した試片からの放出水素量を等時焼鈍によってガスクロマトグラフ分析した結果、200C以下での放出水素はFe-Si合金で30〜270atppm,Fe-V合金で300〜500atppmと得られ、Fe-V合金がより多く水素を吸収することがわかった。 5.グロー放電中に載荷状態で切欠先端部からのX線回折線をエネルギー分析した結果、約5%だけ面間隔が大きくなったと見られるサブピークが出現した。このサブピークは、放電をやめ数時間真空にひいたところで消滅する。このサブピークについて、高圧水素下でのFe-H系状態図を用いて熱力学的に考察した結果、水素誘起相からの回折線と見なしうることを明らかにした。また、この水素誘起構造の生成がグロー放電による顕著な脆化現象と強い相関のあることを見出した。
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