研究概要 |
溶融還元法など未来精練法の基礎的研究として, 反応状況をX線透視法によって観察しつつ, スラグーメタル反応速度を測定した. また, X線画像にコンピュータによる演算処理を施し, スラグ, タル, ガス各相の分別抽出し, さらに各相の境界を明瞭化してその境界線長さ(L_S, L_M, _O)を測定するアルゴリズムを考案した. そして, これにるつぼの内厚tを掛け, スラグーメタル, スラグーガス, ガスーメタル各相界面積(A_<S/M>, A_<S/G>, A_<G/M>)を, A_<S/M>=t*(L_S+L_M-L_G)/2, A_<S/G>=t(L_S-L_M+L_G)/2, A_<G/M>=t*(-L_S+L_M+L_G)/2:としてもとめる方法を開発した. これらの実験手法基づいて, スラグてかFeOの還元反応の現象論および反応機構について検討し以下の結果を得た. (1)薄いルツボ, X線透視, ディジタル画像処理の組み合わせによりスラグーメタル, スラグーガス, ガスーメタル各反応界面の微細構造が明確に観測できるようになりQMSによるガス分析結果と対応がつけられた. (2)スラグーメタル界面に発生した気泡の下部にはセル状の構造が観察され, 気泡発生の単位として, 気泡の消長と密接に関連している. (3)スラグーメタル反応で生成する気泡中には, CO_2が含まれ, 特に反応初期にCO_2が発生する. 今後は, COだけでなくCO_2も考慮して, スラグーメタル反応の解析を行うべきである. (4)反応界面積とガス発生量の時間的変化は, 低FeO濃度のときはスラグーメタル界面積, 高FEO濃度のときはスラグーガス界面積に対応する. このことからすると, 低FeOの場合の素反応としての, 反応の律速段階では, ガスーメタル界面のブドワール反応である可能性がある. 一方, 高FeOの場合は, スラグーガス界面におけるスラグ側の物質移動が律速段階である可能性が強い.
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