研究概要 |
機能性材料を開発する立場から、III-V系化合物半導体や銅を含む遷移金属-レア・アース系化合物などの各種金属間化合物および複合無機化合物の高温における熱力学データを測定集積することを目的とした研究を行ない、以下のような研究実績を得た。 (1)9つのIII-V系化合物半導体(AlP,AlAs,AlSb,GaP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSbの高温熱化学データを落下型熱量計を用いて測定し、これら化合物の標準生成自由エネルギー変化の高温表示式を導出した。 (2)容融In-As系およびGa-As系合金の含熱量を温度ならびに組成の関数として求め、Oelsenにより開発された熱力学解析法を適用することにより成分活量の導出を試みた。得られた活量値に基づいて分圧-組成-温度相関図を作製し、融体引上げ法による単結晶製造における気相制御の最適条件の解明を行なった。 (3)Cu-Y,La,Ce,Pr,Nd各2元系の高温熱化学データを落下型熱量計により測定し、Cu_5X,Cu_4X,Cu_2X,CuX(Xはレア・アース元素)などの金属間化合物の比熱,融解熱,融解エントロピーなどを求めた。また、酸化物高温超電導体の基本系として重要なCu-La系およびCu-Y系の熱力学的性質並びに相関係を統一的かつ整合的に記述することのできる熱力学パラメーターをRedlich-Kisterの多項表示式に基づいて導出した。 (4)ニッケル-ミッシュメタル系の水素吸蔵合金として重要なNi-La,Ce,Pr,Nd各2元系およびNi-La-Ce,Ni-La-Pr,Ni-La-Ndなどの3元系合金の化合物固相の相関係を900-1250℃の高温度域で測定し、水素吸蔵合金てNi_5X固相の安定領域を明らかにした。 (5)上記(3),(4)で得られた基礎熱力学データを用いて、還元拡散法による化合物製造法の最適条件を検索した。
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